フラマン語とオランダ語の違い

フラマン語とオランダ語は一見同じ言語のように言われることもありますが、違いがあります。どんな言語でどんな違いがあるのでしょうか。詳細を見ていきます。

フラマン語とは

フラマン語(英語:Flemish オランダ語: Vlaams, フランス語: Flamand)はベルギーで話される公用語です。ベルギーは複数公用語がある国で、そのうちの一つがフラマン語です。フラマン語の話者はベルギーの一部、アントワープやブリュージュなどの地域とフランス北東部で、話者数は約617万人程です。ベルギーの公用語はフラマン語ではなく「オランダ語」と記載している紹介や文献もあるかもしれません。

オランダ語とは

オランダ語はオランダの公用語です。オランダはベルギーの隣にある国です。オランダ語の母語話者 1700万人という記載を見つけましたが、中にはフラマン語話者が含まれていると思われます。

フラマン語とオランダ語は似ている言語

フラマン語はオランダ語ととても似ている言語です。こんにちは、ありがとう、お誕生日おめでとう、など挨拶やお祝いの言葉は大きな違いが無いように感じます。一般的にベルギーで話される言語をフラマン語といい、オランダで話される言語をオランダ語と言うことが多いですが2つは同じ言語だという説もあるほどです。

フラマン語とオランダ語の違い

フラマン語とオランダ語はどちらもラテン文字(アルファベット)を使用する言語で単語のスペルはほぼ同じ、2言語の話者は大きな問題がなく意思疎通を図れる確かにとても似ている言語ですが、全く同じ言語とは言い切れない違いが存在がします。

発音が違う

フラマン語とオランダ語では発音が異なります。印象としてはオランダ語は喉を鳴らす発音で、フラマン語はフランス語に近いような柔らかい音の発音が多いといった感じです。オランダ語の特徴に「G」という強く喉を鳴らすような音がありますが、フラマン語のGはオランダ語ほど喉を鳴らしません。

「Ch」も日本語にはないようなオランダ語の独特の音ですが、フラマン語ではオランダ語ほど喉を鳴らしません。

使う単語が違うことがある

フラマン語とオランダ語では同じ場面で使用する単語が異なることがあります。

kot(フラマン語)、kamer(オランダ語)

どちらも部屋という意味ですが、ベルギーではkotが使われるのが一般的で、オランダではkamerを使います。

hesp(フラマン語)、ham(オランダ語)

どちらもハムという意味ですがベルギーではhespという単語も使われています。

croque-monsieur(フラマン語)、tosti(オランダ語)

パンにチーズやハムを挟んだホットサンドのことを、ベルギーではフランス語でクロックムッシュ(croque-monsieur)と呼びますが、オランダではtostiと呼びます。

使い方が異なる単語がある

フラマン語とオランダ語では使い方が異なる単語があります。

gij / ge

「gij」や「ge」という単語が使われていたらベルギーのオランダ語、フラマン語と言い切れるのではというくらいオランダでは使わないけど、ベルギーでは使われる単語です。「あなた」という意味ですが、オランダでは「Jij」や「Je」を使うことが一般的です。gij geが使われないことはないが古い単語だとのこと。ですが、ベルギーでは今でも普通に使われる単語です。

U

Uはあなたという意味ですが、ベルギーではカジュアルな場面でもUを使います。Dank U!ありがとう。といった使い方などがありますが、オランダではフォーマルな「ありがとう」の言い方です。年上の人への言い方などに使いますが、ベルギーでは必ずしもフォーマルな表現ではありません。

意味が違う単語がある

オランダとベルギーでは同じスペルなのに意味が違う単語があります。

poepen

オランダでは「うんちをする」という意味のpoepenという単語がベルギーでは「セックスする、性交する」という意味になります。二つの言語の話者での会話に大きな問題はないと書きましたが、この単語を使用する場面だけは要注意です。ベルギーとオランダで意味が大きく違うので、使い方に注意したい単語です。

lopen

フラマン語では走る、オランダ語では歩くという意味です。

schoon

フラマン語では美しい、オランダ語では清潔という意味です。

方言のような?英語の違いのような?

フラマン語とオランダ語の違いは、日本語の方言に近い印象イメージもありますが、個人的には標準語と関西弁程大きくない違いに感じます。アメリカ英語とイギリス英語が同じ単語で発音が違う、違う単語が使われると言った方が分かりやすいかもしれません。英語がアメリカ式、イギリス式と呼ばれるように、オランダ語もベルギー式、オランダ式があり、ベルギー式がフラマン語といった具合です。2つは似た言語ではあるのですが、先に書いた意味が違う単語のように、知らないとびっくりする翻訳になるかもしれないことがある点に要注意です。

フラマン語を勉強する本

日本語の書籍ではフラマン語を専門的に学習する本や辞書というのは見かけません。オランダ語を学習する本で勉強することになります。

この本は、ベルギーのオランダ語についてイラスト入りで紹介している本で、ベルギーについての本なのでこの本で使われている言語はフラマン語といえます。ワロン語も併記されているので、ベルギーの言語学習初級者やベルギー旅行、ベルギー生活の準備をする時におすすめの本です。